少年敗走記

脳みそをさらけ出すダンスホール。

ホームズって結局童貞なの?ゲイなの?

BBCSHERLOCKを「シャーロック」、シャーロック・ホームズその人を「ホームズ」、と呼んで話を進めます。ネタバレあり。

 

子どもの頃からホームズ好きで全巻読破したのですが、映画のホームズの中でも気に入っているのがBBCSHERLOCK。最近また見返しています。

世界観が19世紀ではなくて現代なのも身近に感じられて面白いです。日本の感覚で言うと、19世紀舞台の映画って時代劇みたいなものでしょうか。幕末志士とか尊王攘夷とか。

21世紀版シャーロックと「忌まわしき花嫁」で19世紀に戻ったシャーロックで部屋の内装が一緒なのに気づきましたか?(皆気付くよ)

19世紀の建物が21世紀に残っていても不思議でない国っていいですね、イギリス。日本だったら一部の名家ぐらいしか日本様式の家ってないんじゃないでしょうか。

 

それに英語の勉強にいいんですよね。特にホームズの英語は推理になるとかなり速いのでいいリスニング対策になります。全部はなかなか聞き取れませんが。

 

このBBC,SHERLOCKで特に好きな話が「ベルグレービアの醜聞」。原作だとボヘミアの醜聞ですね。ホームズを唯一打ち負かす女性、「アイリーン・アドラー」が出てくるのですが、この人がホームズの人間らしいところを引き出していく。

 

で、まず第一。「ホームズとアイリーンは恋愛感情がある?」「ホームズって童貞なの?」問題。

原作にはもちろん書いていないし、ホームズのセリフとして「恋愛は精密機械の中の砂粒」という発言がありますね。シャーロックでも言ってましたが。

シャーロックではワトスンがホームズの人間らしいところを引き出してきましたが、恋愛には至っていないと思われます。

今回登場したアイリーンはしょっぱなからホームズをやりこめましたね。裸で登場し、ホームズをまごつかせたり、彼を文字通り「打ちのめした」り。

写真の入ったスマホを自らホームズの元に贈って余裕を見せつけたり。ホームズはパスワードが分からずに悪戦苦闘したり。

 

彼女がワトスンと徹底的に違う面は、ワトスンはホームズより「格下」ですがアイリーンは対等、一時的には格上になり、ホームズを翻弄した点です。

 

彼は少々うぬぼれ屋な所があり、他の人間に翻弄されたり出し抜かれたり振り回されたりしたことはなかったわけです。

ホームズはこれを面白い、興味深いと感じたのではないでしょうか。

しかし、これだけでは恋愛感情には届きません。振り回してるだけならモリアーティだって一緒なわけですから。

ではアイリーンとモリアーティの違いは何か。やっぱり性別じゃないでしょうか。

 

原作ではホームズは少々女性を見下しています。まあ、19世紀の人ですから。しかし、アイリーンに出し抜かれて以降、その見方をやめたという設定になっています。

シャーロックでさすがにあからさまに女性を見下すシーンはないですが、無意識下で少しは「こともあろうに女が僕を翻弄するとは、面白い」という感情があったのではないでしょうか。

アイリーンがホームズに惹かれていくうちに、ホームズの心が全く動かなかったというストーリーよりはホームズも少しはアイリーンになびいた、という設定の方が面白い気がします。

アイリーンに対する、「面白い、興味深い」という感情がしだいに深くなっていき、「愛」と呼べるレベルまで達したとしてもおかしくないと思います。

 

かつ、ホームズが手元にスマホを所持しながらパスワードを破れない間はアイリーンはホームズより格上でした。しかし、ホームズがパスワードを破った瞬間、一気に窮地に立たされたのです。マイクロフトに保護されなければならないほどの窮地に。

この、「格上で少なからず好意と敬意を抱いていた相手が窮地に陥った」状況は人に「助けたい」という情をもたらします。その情は「愛」の一つと呼んでもいいのではないでしょうか。

 

で、結局ホームズは童貞なのか?

僕は違うと思います。なぜなら女の扱いをわかっている行動をとっているから。

どの話かは失念しましたが、ホームズがドアのロックを破るために社長秘書の女性と恋仲になる話がありましたね。ドアの前で指輪を出してプロポーズするあのシーンです。

女性と恋仲になれる程度には女性のことをわかっているわけです。

そして、アイリーンが裸で登場した時、ワトスンが言葉を失ったのに対し、ホームズはそこまで驚きませんでした。(偽名は飛びましたが)

童貞だったら視線ぐらいは泳ぐんじゃないでしょうか。

また、アイリーンに自分のコートを着せるとき、彼は後ろを向きましたね。あれはコートを着るときに身体を隠せなくなるからですよね。

一瞬でそこまでの気づかいを出来るのなら彼は女性経験はあると思います。

 

第二問題。「ホームズはゲイか?」

まず初めに述べておきますが、ワトスンは違うと思います。ワトスンは原作でもかなりの女好きですし、シャーロックでもたくさんの女性と恋仲になっています。ホームズのせいでそのぶん振られてるわけですが。

ホームズもたぶん違うでしょうね。本人が違うと言っていますし、アイリーンにあれだけ興味を示した(恋愛感情というよりは興味ですが)わけですし。

ホームズは恋愛より自分の興味のある道を一途に突っ走るタイプなので、女に興味がないというよりは恋愛に興味がないのだと思います。

 

ちなみに原作ではふたりが腕を組んで歩いている挿絵があったりしますが、あれは19世紀では普通の習慣らしいです。

 

しかし二人がゲイでないとすると腑に落ちないのが、どうしてあれだけゲイネタを入れてくるのか?

初期のピンク色の研究でもハドスンさんやカフェのマスターが二人をカップルだと思ったり、ホームズがワトスンに「誘ってくれるのはうれしいけど」と言うシーンがあったり。

バスカヴィルのハウンドで田舎に泊まった時も店主がゲイだったり、彼にダブルベッドがなくて悪いね、と言わせたり。

ワトスンが爆弾を巻かれて助かった後の一言で「君に暗いプールで服を脱がされるところを~」というセリフがあったり。

 

思いつくだけでこれだけゲイネタがあるのにレズネタといえばワトスンの姉ハリエットは女性と結婚していたこととアイリーンが女性とも「仕事」をしていたという点だけ。

ゲイネタと比べて圧倒的に少ないですよね。ハリエットは姿も見せてないですし。

深読みしなくても脚本側が「この二人(ホームズとワトスン)をそういう目で見てください」とリードしているように見えます。

 

結論を言えばこの二人はブロマンスだと思いますがこれだけゲイネタが多いのはなぜなのでしょうか。

ワトスンは「あなたはホームズにとっていい彼氏ね」と彼女に言われるほどホームズに尽くしていますし。

つまり、恋愛<<<二人の絆

という構図に描かれていますがこれは果たしてブロマンスの範疇なのか...?