NZのボーイアルト、Richard Bonsall君を聞いてくれ。
Richard Bonsall。
ボーイアルト系少年歌手。
かなり昔にボーイソプラノ君の種類分け記事を書いたまま放りっぱなしになっておりました。
あのあと少年歌手について主にソリストを調べていくうちに系統で分類するより個人個人に焦点を当てて書いた方が深く追求できることに気づいたのでもう種類分けはしません。
その代わりに個人で書いていきます。
まずは恐ろしいほど美しいボーイアルト、Richard Bonsall君。
初めて聞いた時、どことなくドイツ系のような技巧を感じました。声質も子供っぽいソプラノでは全くなく、アルトの変声間近のような熟した響き。
iTunesにアルバム「Encore」があります。何歳の時の録音なのか調べても定かでないので気になるところですが13~14くらいかな。
余談ですが
Richard Bonsall (Boy Soprano) - Short Biography
この記事によるとなんと彼は学士、修士ともに日本語専攻です。日本人としては不思議な縁を感じるばかり。
修士はTokyo National University of Fine Arts (おそらく東京藝大?)にて日本語とEthnomusicology (音楽民族学)を専攻。今はNY在住みたいですね。音楽民族学というのは民謡や謡曲などでしょうか?
リチャードのアルバムは何枚かあるみたいですが今すぐに手に入れられるのはiTunesにあるEncoreぐらい。おすすめは「Eldelweiss」。日本人にもおなじみエーデルワイスです。すべてのオケはピアノのみで素朴な音ですがリチャードの深みのある甘いアルトの声を引き立てています。
エーデルワイスの高音は少年の硬質さというよりオペラ風の歌声(このせいで最初ドイツ系かと)と女声のような甘やかさ、まろやかさがあります。しかしそこに少年らしい硬質な暗い深みのベールが柔らかに降り注ぐことで絶対に女声とは違う魅力を醸し出しているのです。
Edelweiss以上に彼の高音を味わえるのが「skye boat song」。女声では叫び声になりそうな高音が少年特有の丸い声で中和され耳に突き刺さらない美しさをみせます。
技巧的なビブラートもやりすぎな感じを出さず何処まで行っても少年の声の美しさを引き出します。
美しい声質とやりすぎない歌のテクニックが素晴らしくリチャードの魅力を引き出し、まさに天上のアルト。
アルトっぽい声を楽しみたいなら「Rose of Tralee」を。素朴なイギリスの片田舎のような曲調に品のある少年の歌声がよく似あいます。
「Rose of Tralee」はアイルランドの民謡。「Eriskay Love lilt」はスコットランド。リチャードの出身はNZとあったのですがもしかしたらイギリスからの移民の子かな?
まあオセアニアは移民の国なのでイギリス系かもしれませんね。
とにかくこれほど上品で甘やかで包容力のある少年のアルトヴォイスはそうそう出会えるものではないと思います。iTunesでアルバムごと買って損はなし。
こういう品のある少年の歌声、僕はかなり好みです。最近の少年シンガーは可愛い声が多く、なかなか上品な子には出会えないのですが。
こういう歌い方って一昔前のクラシカルな歌い方なんでしょうね。上の世代で聞く人はノスタルジックだと思うのかな?
以上Richard Bonsall君の紹介でした。