少年敗走記

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「アナザー・カントリー」を今更観た

古き良き英国のパブリックスクールを舞台とした映画「アナザー・カントリー」を今更観てみました。アナザー・カントリーといえば同性愛のテーマがやたらと浮き彫りにされていますが、僕の印象としては「伝統に縛られた不自由な世界で若者はいかに生きるか」がテーマだったように思います。共産主義に賛同する(当時のイギリスではとんでもないこと)学生も出てきますし、学内での教練といった軍隊と言う不自由さの象徴も登場します。

 

さて、なんで今更この古い映画を観たのか。まず初めに言っておくと僕はBLはあまり好きではありません。(自分がLGBTのくせしてね。)

そもそも同性だろうが異性だろうが恋愛モノって観ていてつまらないと思うのでBLだろうがNLだろうがGLだろうが自らすすんで読むことはほとんどありません。

 

ですが、最初に述べた「縛られた不自由さの中でいかに生きるか」というテーマが僕は実は大好きなのです。それは身分かもしれないし、人種かもしれないし、生まれながらに背負った障害かもしれない。その中の一つが同性愛だと思います。そういうわけで今更ながらアナザー・カントリーを観てみました。

 

あらすじなんかは調べれば出てくるのでここでは書きません。この映画の中で最も美しいと感じたのはハーコートとベネットが夜の礼拝堂?かどこかで身を寄せ合い、語り合うシーンです。会話自体は全く甘い恋の睦言でも何でもないんですが、このハーコート役の役者の演技のうまいことうまいこと。

一瞬彼の青い瞳が涙できらりと光るシーンがあります。その時の切なげな物憂い表情。帰りたくないのに帰らなければならない。そしてその後の永遠の別れをすでに知っているかのような、惹きこまれる表情です。

そういえば彼らキスもしてないんですよね。この身を寄せ合い、語り合うのが最大の愛情表現。縛られた世界で生きる抑圧による美しさ、伝統に縛られ不自由な中の耽美さが良く出ている表現だと思います。

 

かつ、映画の中で何度も流れる'I vow to thee my country'ですが、これはジュピターの惑星でも有名ですね。この曲に詩を付けたのがイギリスの外交官だとか。歌詞を見れば愛国歌だとすぐに分かります。

この映画はソ連のスパイになった主人公が過去を思い出すという語り口で始まる映画なのでまさにこの曲はぴったり。なぜ彼が国を売ったのか、祖国に牙をむいたのかが分かっていくとこのI vow to thee my countryは皮肉ですし、映画のタイトル「アナザー・カントリー」の意味も分かってきます。

この「アナザー・カントリー」は I vow to thee my countryの歌詞 'And there's another country, I've heard of long ago...'に出てくる言葉です。「誰にも知られることのない国がある、その道は静かで穏やかで平和へと繋がっている・・・」というような歌詞です。この意味をふまえて映画「アナザー・カントリー」を観ると監督が描きたかった内容が見えてくるようです。

この英国で認められなかった共産主義、同性愛はきっといつかどこかのまだ見ぬ国で受け入れられる時が来るだろう.....といったようなことでしょうか?

まあ現代を見ればそんな国はどこにもないわけですが。

 

あ、あと少年好きの僕としては時々可愛いショタが出てくるので満足でした。ウォトートン可愛い。彼と、あと物語の序盤でリネン室の階段の上で湯がぬるいと言いに来たあの少年が可愛かったです。始め女性の寮母か女中だと思いました。見た目は普通の(といっても美少年)男の子なんですが、声が女の子のように可愛いです。名前も出てこない役ですがあのシーンだけ何度も見てもいいほどかわいい子です。

 

I vow to thee my countryで最もおすすめなのがLiberaが歌うものです。Winter Songsというアルバムに入っているので是非。