少年敗走記

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AD-LIVE 2016 の昼公演で梶君と賢雄さんの非凡さを知る

ネタバレあります。ご注意を

敬称略で記載している声優さんの名もありますが、ご容赦を。

 

声優の鈴村健一さんが主宰しているAD-LIVE舞台。

僕はこの舞台の大ファンで2014からずっとDVDで観ているんですが、ほとんどの公演を見て中でも一番好きな回が2016年の梶裕貴さんと堀内賢雄さんの昼公演。

この記事ではこのAD-LIVE2016、梶vs賢雄さんの昼公演について語るのでDVD買おうかどうしようか迷っている人は参考にどうぞ。迷っているけどネタバレは嫌だ!って人にはただ一つ。

買ってください。観てください。考えさせられます。

 

そもそもAD-LIVEは片方のキャストが作ってきた世界観を何も知らないもう片方がアドリブで対応しながら進める台本無しのまさしく「アドリブ」劇。

終わり方も様々で、例えば下野vs浅沼公演では昼が熱血な終わり方。夜は裏切り。

この二人の公演は特殊タイプでしたが、僕の印象では両者が分かり合えて、これから前向きに生きようぜ!っていう感動でおとす最後が多い気がしました。

 

2016年のAD-LIVEは何も知らない側の役者が眠っている、意識不明の状態である設定なので、どうしても最初は心を閉ざし、生きる気力をなくしていたりします。

なので、ほとんどの世界観を作る側のキャストが相手を励まし、前向きにさせ、力づける方向で舞台が進み、最後は気力を取り戻し現実に戻る、というオチになることが多いです。

 

しかし!この梶vs堀内昼公演は感動でオトすんですが、世の中的に誰もが手放しで評価するような感動ではありません。(僕は最も好きなおとし方ですが)

 

世界観を作るのは梶君。何も知らない側が賢雄さん。二人は父子という設定で話が進みます。(梶君が父。賢雄さんが息子。)

梶君(パパ)はすでに亡くなっており、賢雄さん(げんじろう)は人生がうまくいかずに自殺未遂。

意識不明のげんじろうの元にパパが天国から会いに来ます。そのまま話は進みますが、最後の梶君の手紙が良かった。

 

無理に「絶対に生きろ!」って言わないんです。目を覚まして頑張って生きるもよし。このまま眠り続けて死に、パパと天国で幸せに暮らすもよし。

好きな方を選べ。どちらを選んでもパパはお前を愛している。と

 

平凡な役者だったら「お前はまだ生きられる!生きなかったらパパ許さないからな!」って言っちゃいそうじゃないですか?

観客だって「無理をさせてでも生きさせる父の愛と、がんばってそれに応えて生きようとする息子の健気さ」のほうが簡単で感動させやすいでしょう。

 

でもこの二人はそうしなかった。

「死んでパパの元に来る」という選択肢をつくった梶君と、それを選んだ賢雄さん。

生きることが必ずしも正解ではない。この世に命さえあればいいという風潮への対抗に僕には感じられました。

 

結局死ぬ方を選んだげんじろう。

もちろん観客の中には「それでも生きる方を選んでほしかった」という意見もあったでしょう。

でも、僕は生きる方を選べなかったげんじろうの弱さ、傷つきながら死ぬ思いで生きるよりはパパと天国で暮らしたいというある意味での「逃げ」の思いに人間らしさを見るのです。

 

崇高で気高い人間らしさではなく、弱くて傷つきやすい人間の本質を、です。

 

こんなに考えさせられるAD-LIVEの終わり方は今まで見たことがありませんでした。

これ台本なしですよ?

どうなってんだこの二人。

 

ここまで手放しで褒めている僕ですが、観始める前は正直この二人で大丈夫か?と思っていました。

梶君は今までのAD-LIVEの中でかなり好きな役者だったので期待が持てたのですが、賢雄さんは初参戦でどんな芝居をするのか分からない。

僕の印象では彼は話回しがうまいタイプではないようだし、ガンガンその場で設定を作っていくタイプの福山さんあたりと組んだ方がいいのでは?なんて思っていたり。

 

ですが、観終わって一言。いえ、そんな心配は全くありませんでした。ないどころか2014~2016までのAD-LIVEの中で最も好きな、何度でも見たい回になりました。

 

AD-LIVE初心者に勧められるスタンダードプレイではないものの(特にラストは)、お涙ちょうだいのありきたりの感動オチでない最後は胸に迫るものがあります。

まさしく、考えさせられるオチです。世間に受け入れられなくても、こういう「幸せ」もあってもいいよねっていうオチです。

 

だからむしろ、AD-LIVE慣れした人に是非観てほしい公演です。

どうぞ観てください。そしてラストでいろいろ考えてみてください。

 

あ、夜公演はまた違った面白さがあるので時間があったらまた記事にしてみようかと。