少年敗走記

脳みそをさらけ出すダンスホール。

バイリンガル教育の失敗にゾッとした

日本のみならずどこの国でも人気なバイリンガル教育。でも、もし失敗したら?

 

僕は大学の環境上、たくさんの「ハーフ」とよばれる人たちと付き合ってきました。日本とどこかの国のハーフが多かったです。彼らはインターナショナルスクールに通い、バイリンガル教育(主に日本語と英語)を施されてきた人たちですが、僕は彼らの共通点に気づきました。

 

日英完璧に100%ずつ使えてる人がいない・・・

 

僕は日本で生まれ育ち、両親も日本人、学校も普通の小中高でした。でも大学で必死に身につけたので、英語力は海外の大学でディスカッションして授業受けられるレベルにはあります。

しかし、たぶん英語が100%使えているけど日本語は80%くらいかな、みたいな人は気づけません。ここでは僕が出会ってきた日本育ちのハーフなのに日本語が?な人たちのことを話そうと思います。

 

「俺は日本育ちのハーフだけどこんなんじゃないぞ!」という人、ごめんなさい。あくまで僕の体験談です。

ただ、加熱するバイリンガル教育を今一度考え直してもらう一端になれば、と記事にします。

 

例えば、日本とイギリスのハーフ、イギリス育ちで英語は100%母語だけど、日本語は80%かな、みたいな人。これは全く問題ないでしょう。彼はイギリス人で特技として日本語を使える。「あら、素敵ね」でおしまいです。

 

悲惨なのは生まれ育った国の公用語母語として使えない場合。上で言った日本育ちのハーフで日本語が自由に使えない人たちがそれにあてはまります。

 

1.日英のハーフで日本語が危うい人

日本育ちの日英ハーフの男の子、まず彼は簡単なものを除き漢字が書けませんでした。20歳近い子です。これはインターナショナルスクール出のハーフの子に多いですが。

かつ、英語の文法で日本語をしゃべる。なんとも形容しがたいのですが、少し喋ってみると「あれ?日系人?」と思う程日本語が不自然でした。

もちろん日本育ちなので発音は完璧です。ただ日本語ネイティブなら絶対しない不自然な言い回し、尊敬語と謙譲語が混ざっている、話が抽象的すぎて何を言いたのか分からないなどどうみても日本人には見えませんでした。20年ずっと日本で教育受けてきたのに。かなりの天然ちゃんって感じ。

あと、単純に単語を知らない。大人なら当然知っているべき言葉を知らずに唖然とさせられたことがしばしば。

そのせいかかなり自分に自信のない人でした。上記の大人なら当然知っているはずの言葉を知らなかったとき、蚊の鳴くような声で「あの....すみません......○○って何ですか......」とうつむき加減で言う様子があまりにかわいそうでした。

 

2.ルー大柴喋りの人

インターナショナルスクール出の日本育ち、日米ハーフの女の子。20歳越えてましたね。これはけっこうあるあるだと思うんですけど、英単語をそのままま日本語に組み込んでいいものと日本語に直さなければならないものの区別がついてない。

例えば「チョコレート」は日本語でも「チョコレート」ですが、「インターセクション」は「交差点」になります。

「次のインターセクション、左折してください。」じゃ通じませんよね。

彼女は「ペスティサイドをリザーブして~」みたいな、もうルー大柴としか言いようがない話し方でした。

 

もちろんこの二人が英語100%、日本語80%だとしたら全く問題ないんです。でも、日本という国で生まれ育ってたとえインターナショナルスクールに通ったからとして、英語を100%使えるようになるでしょうか?

僕はならないと思います。

言語というのはその国の文化、風習、地理的条件などの「空気」によって生み出され、習得されていくものだと思います。

英語を使う機会が社会にあまりないこの国の環境下で英語を100%身につけることはできないと思います。

 

僕の友人にこんな人がいます。

両親は日本生まれ、育ちの日本人。当然日本語しか母語レベルには話せない。息子の彼はアメリカで生まれ育ちました。

しかし、彼は全くといっていいほど日本語が喋れませんでした。簡単な日本語は話せ、かつ発音は完璧に日本人。しかし、「てにをは」がおかしい。言い回しが不自然で何を言いたいのかわからない、そんな人でした。

まあ、彼はアメリカ人で英語は完璧(らしい、周囲の人によれば)なので問題はないでしょう。ちょっと日本語話せる日系アメリカ人。

 

両親が日本人でも日本語が使われる国で育っていなければ使えるようにはならない。

じゃあ、先に述べた二人の子、インターナショナルスクールで英語で教育を受けさせたからといって英語100%完全に母語にするって無理だと思うんです。親の片方しか英語母語の人じゃないし。

 

そのうえ、生まれ育った国の言語(この場合日本語)もその年齢レベルに使えていない。

つまり、ダブルリミテッドです。

ダブルリミテッドとは複数の言語を使えるにも関わらず、どれも100%、母語レベルには使えない状態のことです。

こうなってしまうともう手遅れです。

だいたい、ある言語を母語として使えるかどうかは10歳までにそれを習得できるかどうかにかかっているそうです。

つまり、どっちも微妙にしか使えないまま大人になってしまうともう完璧に使える言語をもたないまま生きていかなければならない。

 

あまりに残酷な話じゃありませんか?

完全に使える言語が無いということは論文が書けない、読めない。

文学が読めない。(日本語だと三島由紀夫中島敦とかでしょうか?ちょっと難解な日本語ですが美しいとされていますね。)

そして何より、思考ができません。人間の思考は言語に縛られますから、80%ずつしか複数言語を使えない場合、100%の言語を持つ人間の思考には適いません。

 

それに、アイデンティティ形成に響くと思いませんか?日本で生まれ育っている、中身は完全に日本人なのに日本語が自由に使えない、他に使える英語は文化としては外国で自分の国ではない。どちらの国も自分の国ではない・・・。

何よりかわいそうなのはそれは全く本人の責任ではないのです。

 

最後に3言語のダブルリミテッドの子を紹介しておきます。

日韓のハーフで韓国育ち。英語のインターナショナルスクール出身。

しかし、彼の日本語と英語の文章を見て驚愕しました。まず日本語のレベルが「私はご飯を食べました。おいしかったです。」

長い文章書けないんです。あと字が汚い。あきらかに書き順がわかってない。

英語もそのレベルで短い文章しか書いてない。インターナショナル出なのに。

僕は韓国語は分からないんで彼が韓国語を母語レベルに使えていることを祈るばかりですが、先の例を思い出してください。

 

日本育ちのインターナショナルスクール出のハーフの子たちは日本語が不自由だった。

じゃあ、韓国育ちでインターナショナルスクール出のハーフの彼の韓国語は・・・?